会長挨拶
この度、第14回日本在宅静脈経腸栄養研究会学術集会を2017(平成29)年11月4日(土)梅田スカイビルタワーウエスト
※会期と会場が変更になりました
におきまして開催させていただくことになり、鋭意準備を進めております。
我が国の在宅医療の草分けとして、昭和60年に新潟大学武藤輝一教授を代表世話人として日本在宅経腸栄養研究会が、ほぼ同時期の昭和61年に大阪大学故岡田正教授を代表世話人として日本在宅静脈栄養研究会が発足しました。以来、両研究会は我が国での在宅の経腸および経静脈栄養の確立・普及を牽引して参りました。栄養治療が進歩、発展を続け、静脈栄養・経腸栄養の重要性は益々高まり、平成16年に両研究会は発展的に合併し、日本在宅静脈経腸栄養研究会として再出発いたしました。以来14回目を迎えようとしています。
医療の進歩に伴って多くの重症患者が救命されるようになり、同時に在宅医療児者も急増しています。政府も政策として「慢性の疾患あるいは障害をもった子どもたちや成人ができるだけ住み慣れた場所で自分らしく生きる」ことを掲げており、在宅医療の推進が求められています。障害者総合支援法が制定され、医療依存児者への地域生活支援が進み、病院と地域が一体となった地域包括ケアのしくみの構築が求められています。すなわち、病院から在宅医療への移行とその後の支援体制を作ることであり、病院での「安全」主体から飛び出して、地域での「生活や成長発達、楽しみ」といった福祉の視点を組み入れた総合的な医療が求められています。静脈・経腸栄養は医療依存児者の半数以上に施行されています。医師、栄養士、看護師、薬剤師および検査技師など技術職とケースワーカーや心理士、専門相談支援員やケアーマネージャー等の相談業務の専門家を加えた多職種により、病院と地域が一体となって行う在宅栄養管理は在宅医療患者支援の根幹をなすものです。今回の研究会では「安全」と「生活、仕事、楽しみ」の両面を含む総合的な在宅栄養管理療法について議論できればと考えています。多くのみなさまのご参加を心よりお待ちしております。
平成29年2月吉日
第14回日本在宅静脈経腸栄養研究会学術集会
会 長 位田 忍
大阪母子医療センター 副院長 / 消化器・内分泌科